1億年!

人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか

戦国大名の織田信長が好んだとされる、幸若舞「敦盛」の一節。

「人間(じんかん、又は、にんげん)五十年」は、人の世という意味。
「下天」は仏教における天上世界を欲望の度合いに応じて六段階に分けた六欲天の最下位の世、その一昼夜は人間界の50年に当たり、その世に住む人々の定命は500歳とされる。
(彼らの生涯は、50年×365日×500歳≒912万5千年という途方もない長さ!!)

よく当時の人々の平均寿命が50年だと間違えて解釈されているのもよく見かけますが、正しくは「人の世の50年という歳月は下天の一日にしかあたらない、夢幻のようなものだ」という意味。

前振りが長くなりました。

約1億年前の白亜紀に積もった地層で見つかった微生物に今もまだ増殖する能力があったと、日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)が率いる研究チームが7月28日付で英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表。

それによると、1億年前の地層で見つかった微生物にエサとなる物質と酸素を与えて培養を試みたところ、エサを摂取し増殖も確認されたのだとか。
海底下の微生物は、貧栄養や低酸素の状況下でもエネルギー消費量をほぼゼロに抑え、1億年のもの間、増殖能力を残したまま生き延びてきたことが研究の結果分かった。

ひとことで「1億年」と言っても、うまく想像できない。。。
キリストが誕生し西暦が始まって今年で2020年ですが、更にそれの約5万倍!
下天の住人の生涯時間912万5千年と比べても、まだその約11倍もの時間!!

微生物の途方もない生命力のスケールと比べるのはどうかと思うものの、そう思うと人の世など実に儚いものですね。